2020/08/21

宅配便

国内通販はほとんどアマゾンを使っている。楽天のアカウントもあってひところは結構利用していた。ヤフーからは本 (図書館から借りた高価な本をさちが齧った件の弁済) を一回買ったことがあるぐらいだ。それ以外は全く経験がない。アマゾンジャパンも近年サービスの劣化が酷いので、いい代替サービスがあれば乗り換えたいのだが。

通販は全て注文確認メールを保管している。消すのは返品・返金が済んだアイテムだけの注文と、Kindle 無料本みたいなお金が動かない取引だけ。昔ナイフが安くて何度も利用した米国の Discount knives of Internet というサイトは決して注確メールを寄越さなかった。店主の名前もなんとか Skeleton なんていう本名とは思えない名で、カードからの引き落としの名義は通販サイトの名と違う Bos'n' Locker という名だった。あいにくその後「急増する悪用カード情報利用の注文のため」海外からの注文は受けなくなってしまった。

それでメールの件数を圧縮するためもあって、欲しい品物をカートに入れても一〜三週間はそのままにしておき、できるだけまとめて注文する。その際アマゾンジャパンでは送り先にできるだけヤマト運輸のセンター止めを指定する。不便なことにアマゾンジャパンが出荷しない注文品はセンター止めを選択できない。その時はできるだけ各出品者に、発注時選択できないがヤマト運輸を使える場合はできるだけその〇〇センター止めで、投函可能サイズやヤマト運輸と取引のない場合は他社で構いません、と定形文でメールする。面倒でやらないこともある。ヤマト運輸のメンバー設定で、投函できる物でも勝手にセンター止めにされることもある。しかし家の地域の配達担当センターが最寄りセンターとは別なのでその場合かならず到着が一日遅れる。

センター止めを選択するのは、ある営業所が家から 400m しか離れていず、客として気楽なのと不在による持ち戻りをさせないことで業者の負担を減らす目的だ。その場合出品者では60円安くて済むはずだが客には値引きがない。値引きして欲しい。持ち戻りの手間を考えると100円くらい引いてもいいと思う。まとめて注文するときはほとんど常に通常発送を、同じ注番内で複数ある時は「できるだけまとめて発送」を選択する。当日便など頼んだことがない。

その営業所はだいたい 20 時を回ると受付カウンターのある小部屋が無人となっていた。その場合内線電話で二階事務所の特定電話機を鳴らすとだれかが降りてくる。たいていドライバーの制服の人でこちらの顔と名前を憶えていて顔を見るなり往々挨拶抜きで留置伝票綴を繰り始める。たまに昼間行くと顔を知らない女性がいることもあった。一年くらい前からは 21 時に窓口が閉まるまでほぼ必ず女性がいる。もう何時に行ってもめったに名乗ったり証明書を出したりする必要がない。さちはそこが冷暖房が効いていて餌はくれないがチヤホヤされるので近くを通ると寄りたがる。8 時頃に公園帰りに受け取りたいと思うこともあるが、規定上窓口が開いている時間でもカウンターのある部屋の前面にはびっしり「ボックス」が並んでいるので入れない。どうせ中も無人だろう。

佐川急便は最寄り「世田谷営業所」が川崎市にあるので営業所止めなど頼めない。家の前の 300m くらいの道路は住人以外の通行が稀で一通だが幅があるので、たいていの朝タクシーが一台は休憩している。八時前には時間待ちのゴミ収集車が待機していることもある。二年くらい前まではよく佐川の大小のトラックが三台ほど縦列駐車して荷物のやり取りをしていたが、ある時住民が通報したのか警察が来てからはピタッとなくなった。

日本郵便のサービスは最劣等で、集配担当の本局は十年も行ったことがないので営業時間は忘れた。家からは地域のヤマト営業所を三店回るのと変らない距離だ。これもポストに持ち戻りの伝票が入っていれば、ユーザー登録してあるから最寄りの局で受け取る手配ができるが、こういう局はとんでもない殿様商法で、平日の昼間しか開いてない、荷物が転送されてきても知らせない、何日間保管するかの知らせもない、期限が来れば勝手に処分する。海外からのはまれに DHL ジャパンなどまともな会社が担当することもあるがほほ全部日本郵便で、よほど高価な物以外海外への返送はしない。

おまけ:昔ブラジルを離れる時、書物を大きなダンボールで家に宛てて送った。ほとんど専門関係の本だ。工学部のウエハラ教授が最後にまた飯をおごってくれるというので、初めてこちらから「パエーリャが食べたい」と申し出た。いつでも「日本食は高くて (往々) まずいのでそれ以外なら何でもいいです」だった。それで店に行って注文し、できるまでに郵便局に行って本の発送を頼んだ。しかしその局には海外発送に経験のある人がいなかった。あるモレーナが担当したが時間ばかり食い、パエーリャが煮えすぎてしまうとやきもきした。

やっと店に戻ると、飯はまともで美味しかった。ボリビアに二週間くらい居て先輩宅に逗留して首都ラパスへバス旅行したりし、帰国するとまだ届いていなかった。サンパウロで親しくなって数ヶ月先に帰国していた友人宅を訪ねると、彼が帰国前に家に送った書物が着いていたが箱は繰り返し繰り返し投げられたんだろう、こっ酷く傷んでいた。それを見て自分の本のことも覚悟したが、やがて届いた物も期待に背かぬ状態だった。

2020/08/04

握手

昔ブラジルから帰ってまもなく研究室に行ったら、他の研究室の先生が来ていて教授と話していた。教授は私を見るとその先生に「彼はブラジルの某大学から戻ったばかりだ」と教え、私にその先生も米国の某大学への留学からから戻ったところだと言った。双方、期せずして右手を差し出して握手をした。周囲のものはちょっとポカンとした。

こちらは院生であり、その先生は助教授で、つい数年前に私は学部の実習で彼の監督を受ける身分だった。その先生の研究室とは研究棟の中で階が違い、めったに顔を合わせなかった。研究に必須な設備が長いことそのキャンパスになかったせいもある。また同じ留学と言っても格も内容も違う。しかししばらく会わない相手とは握手をする習慣の他国から戻り、同時に互いが他国で味わった苦労を思い、共感から思わず手が出たのである。