2019/11/28

ガーリックハニー

Garlic honey
一日目と十一ヶ月目のガーリックハニー
Image credit: u/meehanimal


ガーリックハニーは蜂蜜に皮を剥いた大蒜を漬けて発酵させたもので、飲み物に入れるなど色々な用途があり、おいしくて健康にもいい。

蜂蜜は糖類による浸透圧が高く、その中ではほとんどどんな菌類も発育・増殖できないが、大蒜の切り口や潰した時の割れ目、皮を剥いた時についた傷など、大蒜の水分を含む組織と蜂蜜とが接触するところでは滲み出てくる大蒜の汁で薄まり、蜂蜜中の酵母菌による発酵がおきて発泡する。だから大蒜は包丁ごしに押し潰すか、麺棒などで叩いて潰してから使ったほうが発酵が速く進む。また潰せば剥けなかった薄皮も剥きやすくなる (まあ少しは)。最近では薄く輪切りにして漬ける。その方がずっと進行が速いし多少薄皮が残っていても辛くて食えない粒ができることもない。

濃縮目的で加熱してない蜂蜜ならスターターは必要ない。蜂蜜は普通大蒜より重いので大蒜が浮き上がってしまう。そうすると大蒜の蜂蜜に触れていないところでは発酵が止まってしまうので、何か適当なものがあったら重石をするといい。きれいな小さい食品用ガラス瓶とか。米国アマゾンその他ではメイスンジャー用のガラス製の重石を売っている。薄切りだと蜂蜜が軽くなるのも速いので必要ない。

発酵の進行は果汁や水を加えて加熱した穀物などよりゆっくりだが、進むと糖の消費とアルコール産生により蜂蜜の流動性が高くなる。軽くなった蜂蜜は液面近くに溜まるので、漬けてわりとすぐに瓶を動かした時液面が軽く波立つようになる。底の方はどうかわからない。時々瓶を揺すって蜂蜜を均等に混ぜ、大蒜が薄くなった蜂蜜とだけ接することのないようにする。

だいたい漬けて一週間から使え、最も美味しくなるのは三ヶ月後くらいからだそうで、冷暗所で年余の保存ができるようだ。糖が消費されて浸透圧が下がってもアルコールが増える分雑菌の繁殖は抑えられる。蜂蜜は酸性 (平均pHは3.9) なので通常ボツリヌス菌の増殖 (pH4.6以上が必要) はおこらないが、心配なら多少果実酢を加えれば中毒の気遣いはない。その目的かどうかスライスしたレモンを一緒に漬けることもある。いずれにせよ一歳未満の乳児に与えてはいけない。大蒜の臭気はするが、蜜は冷たい飲み物に入れても違和感なく美味しく飲める。他の果汁や発酵飲料などと共に炭酸水を加えて飲んだりする。生の蜂蜜と違って流動性が高いから冷たくてもよく混ざる。そのまま焼いたピッツァやトーストに塗ったり、醤油や酢など調味料を加えてソースやサラダドレッシングも作れる (鶏料理によく使われるガーリックハニーソースというのは発酵させてない) 。

使う分を発酵用のボトルから取ると、ボトルの口あたりが汚れるかスプーンなどを洗わなくてはならないかするので、ある程度発酵が進んだらスクイズボトルに移してもいい。一ヶ月くらい漬けた大蒜を食べてみると、全然辛くなくなったものと喉が焼け胃に来そうなくらい辛いものがある。辛いのは薄皮が残っていたものかも知れない。文句なく美味しく健康によく用途が広いガーリックハニーの問題点は、他の発酵食品の何よりまして材料の支度に手間がとれることだ。つまりたっぷりと仕込むには大蒜の皮と薄皮を剥くのが大変すぎる。だから沢山は仕込めないし蜜の方は一ヶ月以内に使い切ってしまう。国産の大粒の方が手間は少ないようだ。エレファントガーリックが手に入ったら試してみよう。

参考動画
Brad Makes Fermented Garlic Honey

2019/11/24

数年間豚でご飯を食べていたので、生きた豚のことはわりと詳しい。

猪は地中の植物の根や根茎や昆虫などを硬い鼻の上端で掘り出して食べるように進化して来たので、頭骨後部と背中の肩甲骨あたりを結ぶ強大な筋肉群をもっている。それは食物を得、下顎から上向きに生えた牙を有効な武器として使って身を守るだけではなく、知能の進化をも支えている。人の祖先が直立歩行することによって頭脳の発達を有利にしたのと同様に、頭を支える強い筋肉は重い大脳と頭骨をよく支えるからだ。豚には少なくとも犬と同等の知能はあると言われている。

Move over Lassie: IQ tests reveal pigs can outsmart dogs and chimpanzees

しかし様々な使途のある犬と違い、豚は雌を使って地中のトリュフを探させること以外に一部が愛玩動物としてしか使われていない。もしかして番豚として働いている個体もあるかもしれないけど。不潔な環境に住むことを強いれば不潔にしているが、犬同様に清潔にしていることもできる動物である。子豚は人見知りをしない一ヶ月かそこらのものが一番かわいい。ベトナム種の豚は小さいので、それをペット用に改良したミニ豚が日本でも飼われている。支那・ベトナム種の豚の特徴として腹が大きく垂れているところはあまり格好いいとはいえない。

pet pig
ペット豚

猪の亜種である豚も鼻先で物を持ち上げる力はとても強い。木の柵などは低い横木を押し上げることで簡単に壊されてしまうし有刺鉄線も役に立たない。豚の飼育の歴史は柵を壊す豚と修理する人間の戦いの歴史だったとも言える。大規模にやっている種豚場や養豚場のあるじには柵の修理に必要な鉄棒の溶接は必須スキルである。最近は目の粗いスチールネットフェンスに電圧をかける方式が使われることが多いらしいが、豚舎内の柵や仕切りには使えない。

猪や豚特有の攻撃行動に「しゃくり」がある。敵の股ぐらに鼻先を突っ込んでひねりを加えながら勢いよくもたげることで、例えば小柄なバークシャー種などを除き成豚の体重が300kgを軽く超えるヨーロッパ種の猪や豚は、成人男性を数m投げ飛ばすばかりか牙によって大血管やその他の臓器に致命的な傷害を与えることができる。日本で養豚が今のように集約大規模化せず、沢山の農家が少数の豚を飼っていた頃、年に数人はこれで死んでいた。もちろんそういうことをするのは去勢され六ヶ月かそこらで出荷される肉豚ではなく繁殖用の種豚である。といってもまだ牙が伸びていない六ヶ月ぐらいの繁殖用の雄豚でも人をしゃくろうとする。


人がまさに投げ上げられるところ
この人は25cmの深い裂傷を負った
Image credit: news.com.au

もちろん咬みもする。怒れる雄豚に対してその辺に落ちていたナンバープレートほどの鉄板で防戦した挙げ句に手を咬まれて数針縫う怪我をし、当の豚も危険すぎるとして屠畜場送りになったことがある。

2019/11/23

mont-bell

モンベルという会社は最近犬用品や子供服まで扱っている。でもアマゾンジャパンでカタカナや横文字でペット用カテゴリを検索してみたが、犬用靴下一点しかヒットしなかった。

むかし山に行きはじめた頃、モンベルのテントや一・二の衣料を買って使っていたが、創業後七年かそこらしか経ってないのにロゴに"Since 1975"とか入れているのが可笑しかった。よっぽどブランドに誇りというか愛があるらしい。

水道橋のさかいや (その頃の店長がのちに店を買い取って自分のアウトドア用品店をやっている) で折り畳み傘を買ったが、家に帰って開いてみるとデカデカと mont-bell のロゴが入っている。金を取って売るものじゃなく、ノベルティグッズとして配るのが適当という代物だった。返しに行ったら店長は開いた現物を展示してあったと主張して応じなかった。父に使ってもらおうとしたが、色が気に入らないと断られた。一度も使ってない。今もほぼ同様な傘を作っているが、ロゴはいくらか控えめだがまだ大きい。何様のつもりだ?

私は無印良品の衣料が好きだ。天然素材や色彩が好きなだけでなく、ロゴを入れない姿勢も好き。ただデザインは好かないものが多いので最近は台所用品やTシャツ・靴下のような下着しか買ってない。

テントはムーンライトシリーズという物の一・二人用だが、四本継ぎ・骨二本のシンプルな四つ手網式のと違って骨組みが複雑で、開くのは簡単だがショックコードの一部にテンションが偏らないように気をつけて畳むので撤収に時間がかかった。往々テントを持っていても使わずに露天で寝たのは、コリン・フレッチャーの「遊歩大全」の影響ばかりでもない。のちにカモシカスポーツのエスパースシリーズのシンプルな冬天を買った。