2016/10/10

原発

素人だから原発を全廃すべきかどうかわからない。

昔、電力会社は予定された廃炉を先延ばしにする一方新規の建設は予定通りに進めてきた。理由はそうした方が儲かるからだ。廃炉は途方もない支出を意味する。

原発は本来夜間に需要が落ち込んだ時の最低線 (ベースライン) 発電量を担当し、水力と火力とで昼間の増加分を受け持つ筈だったが、結果として増え過ぎた原発のため発電量がベースラインを超えてしまったので、水力発電所で翌日用に水を汲み上げるだけでは消費しきれず、夜間の出力調整運転という禁じ手に出なければならなかった。これは自動車が混んできた専用道で右に左にと先行車の追い抜きを繰り返すと同じくらい危険な運転方法だ。

一方で夜間電力の安さを宣伝し、風呂釜や給湯器のような製品の開発を促進した。今の日本の産業用以外の電力の使い方は無駄ばかりだ。24時間保温する風呂だの一年中ホッカホッカの便座だのコンビニだの自販機だの……。広い部屋の天井にある照明は全部点けないと気が済まない連中は若い世代にとても多いし。こういうのを欧米並みに合理化できれば原発は需給だけの話ならなくともなんとかなる。

しかし他の発電方式が何かの壁にぶつかった時のために、将来への技術の継承と発展のために稼働原発を一箇所くらい残しておくべきかもしれないし、もしかすると核武装が必要になるかもしれない*。

腹が立つのは福島第一の大事故当時、世間を落ち着かせるためによく報道された、外国のどこかでは自然放射線がこれだけあるとか、飛行機に乗るとこれだけ放射線を浴びるとかいう話だ。外国のごく一部の地方の話はともかく、飛行機で受ける放射線の話は今まで隠してきたのにしゃあしゃあと持ち出したことだ。核武装を標榜するあるブログでは放射線は身体にいいなどと抜かしやがった。

*:2020年2月刊の伊藤貫著「歴史に残る外交三賢人」を読んで考えが変わった。とっくの昔に必要になっている。

よくわかる原子力 電力のつくり過ぎ