2018/12/15

さち その4 なっちゃん

さちはブリーダーのケージで兄弟の一頭と生後99日まで一緒であり、しょっちゅうレスリングをしていたらしい。今年死んだなっちゃんも保護犬で、那須高原で兄弟とそうして遊んでいたんだろう、二頭ともレスリングが好きだった。最初晩春か初夏の頃に二号売店の前で会ったが、遊ばせるとそればっかりやっていた。遊び方はそれは激しく、突っ転ばしあったり体当たりしあったりし、双方の牙がぶつかってガキッと鳴ることもあった。

当初は土曜日にしか砧公園に行かなかったのでだいたいその辺でなっちゃんママと待ち合わせていた。しかし私の来る時間帯が結構まちまちであったため、なっちゃんママはやがて友達のいるファミリーパーク内にいることが多くなってきた。二号売店前に来る顔見知りに彼女を見なかったか聞くとファミリーパークにいたと言われることが多くなった。それで仕方なく自分もそこへ行くようになった。

さちはそこでなっちゃんから土を掘って草の根を食べたりすることを習いおぼえた。当初はレスリングばかりやっていたが、やがて他の犬と遊ぶうちに追いかけっこもするようになり、なっちゃんはさちとレスリングをする前に相手を追いかけて捕まえないとならなくなった。それが面倒ななっちゃんはやがてパーク内でさちが放れているときには遊ばず、繋がれてパークを出る時絡んできたり、二号売店前で飼い主たちがペンチに座るやいなやレスリングを始めたりした。その頃特によく遊んだ相手にビーグルのエリンちゃんやJRTのくるみちゃんがいる。どちらともやはり主にレスリングをしていた。

一歳四ヶ月頃、くるみと
後ろにいるくうちゃんとはこの頃はまだ遊ばなかった


ローズの飼い主さんが撮ってくれた写真 (ともに二歳近い頃)


当時は一時間放しておけば一時間、二時間放しておけば二時間、相手を変えながら折々水を飲ましてもらいながら遊びっぱなしだった。桜の樹の陰に一時間隠れて様子を見ていたことがあるが、時々飼い主を探して人々の群れに入り顔を見て歩くそぶりもしたが、遊びのお誘いがかかるとすぐ相手になっていた。

十一月になるとパークを出るため呼んで繋ごうとすると逃げ回るようになり、一時公園に来るのをやめて遅まきながら呼び戻しの訓練をきっちりやってみることにした。最初にしっかり教えておくべきだったが、柴犬に呼び戻しは無理と思っていたからやっていなかった。でもやっぱり遅すぎた。