2016/06/12

「柴系雑種」

辺鄙な地方や避暑地や島嶼部では放し飼いの犬が多く、野犬の群れもいる。当局は数を抑えるために野犬の特に仔犬を箱罠などで捕らえる。成犬はそういう手段ではなかなか捕まらない。狂犬病が国内に入ったとき野犬が多いと危険なためだが、現状では犬の自然繁殖に対し後手後手であり、ほとんど無駄な努力じゃないかと思う。ともかく篤志家たちはそれを引き取っては都会に連れてきて里親探しをする。

そういう犬たちには「柴系雑種」と呼ばれるタイプが多い。彼らはほぼ立ち耳巻尾で、しかし耳は大きめで巻きは緩め、毛色は柴犬より薄い茶色が多い。薄いというか一本のトップコートの毛に白から漆黒までのグラデーションを持つことの多い和犬の毛に比べて色味に乏しい。和犬も狼に比べれば乏しいが。和犬のことを知らない人たちは彼らも柴犬だと思っていることが多い。ときどき白や白茶斑や少ないがブラック&タンもいる。そして柴犬より幾分大柄で脚がすらっとしていて眼はほとんど洋犬の眼をしている。奥眼と短めの脚は柴犬が低山の下生えをくぐって走るのに適応した結果だ。洋犬と和犬の両方を狩りに使う人いわく、洋犬は狩りの後眼に入ったゴミを取ってやるのが一苦労だが、和犬にはその必要がないと。

たぶん立ち耳や巻尾はヘテロでも発現する優勢な遺伝子により、和犬の引っ込んだ眼や柴犬の短い脚は劣勢遺伝子によるんだろう。

なお、和犬の間で交雑した犬は「和系雑種」と呼ばれる。

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