スパニッシュ・ブルドッグまたはアラノ・エスパニョール
パナマ地峡を横断して太平洋を「発見」したバスコ・ヌニェス・デ・バルボアは、最初のパナマ地方への探検航海に参加したあとイスパニオラ島で入植したが、農場経営に失敗して債権者から逃げるために飼い犬のレオンシーコ (Leoncico、小さいライオンという意味) と共に大樽に潜んで、マルティン・フェルナンデス・デ・エンシーソを隊長とする探検隊の船に乗り込んだ。隊員に協力者がいたんだろう。しかし隊長は彼らを見つけ、次に通りかかった無人島に置き去りにすると脅した。しかし彼の地峡周辺の地理に関する知識と経験を知って同行させることにした。
レオンシーコはスパニッシュブルドッグであったと言われ、父犬のベセルリーリョは既に探検に参加して数多の手柄を立て有名だった。獰猛で捜索能力に優れ、平和的な目的で来た先住民と害意を隠した先住民とを正しく見分けたといわれ、先住民は犬無しの百人のスペイン人よりもベセルリーリョを連れた十人を恐れたといわれた。レオンシーコも強く賢い犬で、彼を伴った十人のスペイン人は彼なしの二十人の者たちより手柄を立てたと言われる。のちに嫉妬から毒餌を食わせられて死んだ。持ち主のバルボアもエンシーソにとって代わって彼を本国に放逐したりしたせいで恨みを買い、邪魔されなければインカ帝国の征服者となれたかもしれない探検に出る前に反逆罪の名目で逮捕され処刑された。
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