2019/07/07

マルブルーは戦争に行った

ウィンストン・チャーチルやダイアナ・スペンサーの先祖であるイングランド貴族ジョン・チャーチルは、18世紀初めのスペイン継承戦争に出征して勲功を立て軍司令官に任ぜられ、初代マールバラ (Marlborough) 公爵に叙せられた。しかし戦争の終わり頃、マルプラケの森に防備工事を施して立てこもったフランス軍を攻撃して敵を退却させることに成功したものの、サヴォイのプリンツ・オイゲンと共に指揮していた英・蘭・プロイセンほかオーストリア帝国隷下諸邦の連合軍は敵に倍する大出血を被った。

この時フランス軍には彼が死んだという誤報が伝わり、喜んだフランス兵は「マルブルー (Malbrough, Malbrouck 等様々な綴りあり) は死んだ」という歌を歌った。きっと既存の歌の替え歌だが、これはいろんな形で出版されたりもし、今に至るまで俗謡あるいは童謡として歌われている。

内容は「マルブルーは戦争に行った。三位一体節までには帰るだろうか、復活祭までには帰るだろうか。しかし復活祭が過ぎても彼は帰らない。奥方は城の高い塔に登って帰りを待った。すると彼と共に出征した小姓が帰ってきた。奥方は呼び掛けて彼の消息を尋ねた。小姓は答えてマルブルーの旦那様は戦場で死んで葬られました云々」というもの。

Malbrough s'en va-t-en guerre

マールバラ公は新しい兵站方式を採用して軍の移動を速くするなど軍事に天才を発揮したが、金に汚かったといわれる。それを政敵にあれこれ告げ口されて軍司令官は解任された。フランス俗謡のマルブルーも戦争で一稼ぎする目的で出征する兵士のように描かれている (らしい) 。

この歌は米国では再度歌詞を変えられて "For he's a jolly good fellow"という、親しい人を歓迎したり誕生日を祝ったりする際の歌になっている。

For he's a jolly good fellow

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